日々の歩み

2006年9月22日
野次馬的裁判傍聴

 ライブドアの裁判が始まって、テレビのニュースやワイドショーでも連日のように裁判が取り上げられています。

 この間、ワイドショーで傍聴マニアの「阿蘇山大噴火」(なんという名前だ…)というコメンテーター(?)が出てきたのを見ました。

 記者とは違う、ウォッチャー、マニアならでの視点がかなり笑えましたが、この「傍聴マニア」というのは、かなり奥の深い世界のようです。

 阿蘇山大噴火さんを初めて見てから数日後、今度はたまたま目にした記事で、若い女の子たちが「霞っ子クラブ」というのを作っているのを知りました。

 何でも、傍聴マニアの若い女の子同士、裁判所で知り合って、そういうサークルを作っているのだそう。
 
 記事に出ていたその女の子たちは「弁護士って意外とよれっとした格好をしている」「裁判中に裁判官や弁護士が寝ている」などという、比較的外形的なコメントをしているだけ?という感じかと思いきや、ブログを読むと、裁判官に対する批評なども載っていたりして、今度から、定期的に覗いてみるつもりです。

 その流れで、最近、北尾トロという人の「裁判長!ここは懲役4年でどうすか?」という、刑事裁判傍聴マニアのライターさんの書いた本を読んでいます。

 この本、私が大学に入学して、司法試験受験を志し始めた頃、友人と一緒に初めて裁判傍聴に行ったときの感想と、全く同じような感想が盛りだくさんで、タイムスリップしたような懐かしさを感じさせてくれます。

 思えば、司法修習生の実務修習では、裁判官や弁護士や検察官にくっついて、いろいろな場所から「裁判傍聴」をする時間が、大部分を占めていました。

 もちろん、事件記録を読んで裁判に臨むのですが、実務修習期間は短く、1つの事件を最初から最後まで追うことはほとんどできず。いきおい、事件の流れもよくわからず、睡魔に襲われることも多々ありました。

 そういうときに、睡魔を救う方法として、私(だけではなく、他の修習生もかなりの割合で)が採用していたのは、「似顔絵」でした(汗)。

 被告人だったり、弁護士だったり、いろいろな特徴のある人の似顔絵を描いて眠気を覚まし、一生懸命事件に集中したものです。

 要するに、中身が良くわからないから、せめて目に見えるものを観察しよう、という、あえなき努力だったのでしょう。

 今は、当然ながら(?)、裁判の中身に神経を集中しているので、さすがに眠くなることもあるわけないし、外見を見ている暇も実のところなかったりします。

 だからこそ、今、もう1度、実務修習ができたら…、ということを思います。

 今だったら、似顔絵なんか描いている時間を惜しんで、いろいろな弁護士の法廷での芸風や流儀、そして書面を、もっと真剣に研究していたはず。

 あんなに大勢の弁護士の姿を客観的に見ることのできる機会、というのは、実務に入ってからはなく、思えば、本当にぜいたくな時間だったのだと思います。