- 2019年5月17日
- ピアノの話~その2【内藤晃さんコンサート】@越生
馬に乗りに良くでかける埼玉県の越生町は、里山と清流、四季の自然が楽しめる小さい町です。
先月のことになりますが、最近も精力的に趣味のピアノに取り組んでいる高校時代の友人から、
私が良く行く乗馬クラブの近所のカフェで、彼女のお気に入りのピアニストのミニリサイタルがある、と声をかけてもらい、足を運びました。
会場は、Die Sonneさんというカフェ。オーナーご夫妻の奥様が、高校時代の友人と、ドイツ在住時代からの幼馴染だったそうで、ドイツ語で「太陽」という名前。
素晴らしいことに、店内には、今年100歳になる、NYスタインウェイのピアノが置かれています。
美味しいお茶菓子をコーヒーをいただきながら、いよいよ内藤晃さんの登場、若い男性のピアニストさんなのですが、おしゃべりがとても知的で面白い、見た感じは、一緒にいた方の言葉を借りると「妖精みたい」(?!)
男性に、妖精、というのもちょっと変わったたとえかもしれませんが、割と小柄な方が、ピアノの椅子をとても低くして大きなグランドピアノに向かって音を紡いでいるのを見ると、その言葉がぴったりに思えてくるのでした。
曲目は、ほぼすべてドイツの作曲家のものばかり。バッハ、メンデルスゾーン、シューベルト、そしてベートーヴェンのソナタ。
この日は、内藤さんととても親しく、今まで共演もされているという若きピアニスト渡邊智道さん、そして最近知り合ったばかりだけど、すぐに意気投合したというヴァイオリニストの加藤綾子さんをゲストに迎えて、ピアノの連弾でブラームスの4手のためのワルツ、そしてヴァイオリンとのアンサンブルでモーツァルトのヴァイオリン・ソナタが披露されました。
この共演者の方々と一緒に演奏しているときの内藤さんの喜びに満ち溢れた顔が、とても印象的。
そして、ソフトペダルを左足でずっと細かく操作しながら、とても繊細に一音一音を大切に出しているのが本当にわかる、素晴らしい演奏でした。
外からはウグイスの鳴き声も聞こえて来るのも、自然に囲まれたカフェでの演奏会ならではですね。
演奏後、お話をうかがうと、ピアノの椅子は一番低いところで弾くのだそう。そうすることで、指の重さだけで繊細な音作りができるから、ということ。それも、今回のピアノのように、きちんと調整されているからこそ生きてくる奏法のようです。
ヘタクソながら私もピアノを弾きますが、ショパンなどは重力奏法が主流とのことで、できるだけ椅子は高くして弾くようにしていたので、正反対なアプローチはとても新鮮でした。
今回は、たまたま、ドイツものが多かったとのこと、機会があれば、また、他の作曲家の演奏もぜひ見に行きたいです。
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