- 2012年9月22日
- オリンピックと武道精神
ロンドン・オリンピックも終わって、もうそろそろ涼しい風が吹き始め、思い切り時期をはずしているかもしれませんが・・・。
今回、本当に盛り上がったオリンピックですが、前半日程では柔道等の判定でいろいろと不審な点があったり、非常にマナーの悪い選手がいたり、と、日本人としてはいろいろ思うところのあるエピソードが多かったように思います。
柔道は、もともと日本の武道であったものが世界に広まってオリンピック競技になったもの。そして、日本の選手というのは、柔道をスポーツとしてとらえるとともに、武道としてとらえて習得してきているものと言えるのではないでしょうか。
そうなると、単にルールに従って「勝つ」ことはもちろん重要ですが、その「勝ち方」も大切になってくるわけで、「一本」にこだわる、というのは、そのような流れのうえにあったのではないかと思います。
また「礼に始まり礼に終わる」という精神からすれば、勝った後に相手に馬乗りになるなど、ありえない行為です。
私はテコンドーをやっておりますが(オリンピックのスポーツとして洗練されたテコンドーとはルールが全く違うので、どちらかというと武道テコンドーだと思っています)、テコンドーには五大精神というものがあります。
結構、良いものなので、書いておくと、「礼儀」、「廉恥」、「忍耐」、「克己」、「百折不屈」の五つです。
これは、日本のみならず、海外のどこの道場に行っても、必ず五大精神として修練しているものです。このことを根幹とすることで、テコンドーはあくまでも「武道」として、世界中に広まっています。
そして、武道的には「敵に背中を見せる」・・・というのは、負けを意味するわけですが、テコンドーのルールでは背面攻撃が禁じられています。
すると、海外の選手は、堂々と背中を見せてコートの中を逃げ回ったりします(汗;;) 最近は日本でもそのようなテクニック(?)を駆使する選手もいますが、当初、海外のその姿をみて違和感を覚えた日本人選手は多かったと思います。
また、海外のどの国の大会でも、試合も応援も整然と行われるのですが、アルゼンチンで行われた世界大会のときは、アルゼンチンの地元の選手が負けたとき、観客席からペットボトルがコートに投げ込まれ、まさに唖然茫然・・・・でありました。
このように、武道も国際化して、ルールだけを共通の言語として競技が行われるようになれば、やはり勝つためには、「決められたルールの中で、ルールを利用して、どのように勝つか」ということだけが重視されるようになってきます。
そうすると、オリンピックで見たように、日本人の感覚からすると、「これはちょっと・・・」と思うような出来事が多々起きてくるわけです。
武道の「精神的」な部分というのは、あくまでも道徳的な規範であって、ルールに盛り込むことはとても難しい。
法律学でも「法と道徳とは」・・・などという、大きなテーマがあったりするのですが、それと似たようなことが起きてくるのですね。
たとえば、お相撲や高校野球のように「ガッツポーズをしてはいけない」とか、そういうことまでルールにしなくてはいけなくなるのか。
せっかく武道が国際化されるのだから、その武道のバックボーンになっている精神的な部分も国際化していってほしい・・・・。でも、それにはどうするのが良いのか・・・。
そのように思いながら見ていたオリンピックでありました。
ついでに・・・。
こちらの写真は、イタリアで行われた大会でアルゼンチンの女性師範と組手の試合をしているわたくしです。
国際的でしょう?(笑)
カテゴリー:テコンドー