- 2005年10月22日
- 弁護士の労使対立・・・?
外資系証券で勤務していた人の時間外労働の未払い賃金請求に対し、「時間外労働の手当が基本給に含まれていた。」として、棄却をした東京地裁の判決が出たようです。
その根拠としては、給与の体系について、会社にどれだけ利益をもたらしたか、ということで給与が決められていたことや、1ヶ月に得ていた給与が180万円を超える高額であったこと、などが、あげられています。
実際に残業代を支払ってもらえずに大変な思いをしている人を知っているので、どうも「納得!!」と言えないところもある判決です。
その一方、文句も言わずに早朝から深夜(ヘタをすると、翌早朝)まで、仕事にまい進している人も知っていて、しかも、非常に高給を得ているせいか、そのことを誇りにこそ思っている節もあったりします。今回の判決は、そういう側面をとらえた判決なのでしょう。
残業代・・・というと、私も思うところがあります。
それは、新卒で就職した音楽専門出版社、社長がピカピカの新入社員の私達に言ったのは、「男女の待遇は、全く同じ。残業代とか、給料や勤務時間の労働条件で文句があったら、組合でもなんでも作って対抗してくれ。」ということでした。
もちろん素直な新入社員たちは、組合を作ることなど思いもよらず、要領の悪い仕事ぶりで(=これは私だけです・・・)、深夜労働と会社宿泊を繰り返していたのでした。
当時の出版業界では、残業して当たり前、出張校正などあれば、印刷所で夜明かしすることも当然にありました。でも、社員たちは「こういう業界なんだから、そんなもの」という、妙な割りきりがある雰囲気でした。
時間管理をしっかりすることで、それが改善されていれば良いのですが。さて、弁護士業界でも、いわゆる「渉外事務所」といわれるところに勤務する方は、「公共交通機関が動いている間は家に帰れないのがあたりまえ。」なんていうことも聞きます。
知り合いの方は、実際に事務所に寝袋を完備しているそうですし。
弁護士の場合、必ずしも労働基準法が適用にならない場合もあるのですが、実際のところ、時間と給与の待遇面で、労使対立する、なんていう例は、果たしてあるのでしょうか?
そんなとき、裁判所は、今回出したような判決を出すんだろうなあ。