- 2005年12月30日
- 取調べの作法、尋問の作法
検察官が、取調べのときに「ぶっ殺すぞ!」という言葉を遣ったことが問題になった、という記事が出ていました。
取調べは押したり引いたり、時には威圧的になることもあるのですが、ちょっと行き過ぎてしまったようです。
私たち弁護士も、司法修習生のときは「検察修習」というのがあり、2人1組になって、実際に被疑者の取調べに当たります。
警察での取調べをすでに経ているはずなのに、実際に事実を認めさせるのはとても難しかった、とい記憶があります。
検察修習が行われるのは、いわゆる「大部屋」で、他の修習生や取調べを同時に同じ部屋でやっているので、そういう開放的な雰囲気のせいか(?)、とても被疑者にリラックスされてしまったり・・・・。
パチンコ屋関連の事件では「いい台教えるから、甘くして」みたいなことを言われたりもしたものです。
また、窃盗事件など、「状況が状況なら、私もやってしまうかもしれない。」なんていう妙な同情心が出てしまったりして、「絶対に自分は検察官になれない。」ということを、修習を通して実感したものでした。☆☆☆
話変わって、裁判のときの尋問の話。修習生も、模擬裁判で初めて尋問というものにチャレンジするのです。
実際に尋問が終わった後、現役の裁判官や弁護士の方から講評をいただくわけですが、内容はもちろんのこと、尋問の「作法」のようなものについても、結構注意を受けました。
まず、「腰に手を当てると威圧的な感じでよろしくない。」・・・言われてみると、相手を尋問で追い詰める場面に入るとき、つい、腰に手を当てるポーズをとっている人が多い。これは、なぜなんでしょう(笑)。
異議を出すときに「異議有り!」と元気がよいのは良いが、「立ち上がるときに、いちいち、バンバン机をたたかない。びっくりするし、第一、ウルサイ。」・・・確かに、「異議有り!」と勢い良く立ち上がるとき、机を手でバン!とたたいている人がいました。
ただ、後で聞いたら「腰が悪いので、立ち上がるとき、机をたたくようにして勢いをつけないと、一気に立てなかったんだ。」そうですが(笑)。
特に、作法というものがあるわけではないけれど、尋問は真剣勝負なわけですから、それだけに、礼節をもって臨みたい、と思うのです。
それでも、相手の代理人が、こちらの証人に対する態度に「ムカーーッ」と来ては、異議を出してしまうこともある、未熟な私ではありますが(汗)。