- 2006年7月16日
- 怖がらせるつもりはないんです
事件にもいろいろなステージがあって(交渉、調停、裁判…)、裁判にもなれば、通常は、相手方にも代理人として弁護士がついている場合がほとんどです。
それ以前の交渉の段階ですと、相手方本人に対して内容証明郵便を出したり、ということも多々あるし、当然必要な場合が多いです。
ただ、私自身、弁護士になる前に内容証明郵便というものを見たこともなかったので、そのようなものがもし弁護士から突然やってきたら、驚いたり、怖くなったりする人は多いのかもしれません。
そういう意味で、弁護士の出す内容証明郵便を「脅しで使う」ということを考える人も多くて、実際に、たとえば不当な請求などを受けている場合、弁護士から内容証明を出しただけで請求がおさまる、などということも実際にあります。
内容証明郵便を出すときは、その文面に非常に気を遣う弁護士さんが多いのではないでしょうか? 圧力になりすぎてもいけないし、その一方で決然としたところもなくてはいけない。
以前、ある不当な請求(恐喝に近い)を受けていて、こちらから内容証明を送ったところ、請求がとまった、という事案がありました。
この依頼者の方は、実は私の知り合いからの紹介だったのですが、その紹介者に対して、「とても優しそうな顔をして、どぎつい手紙を書いてくれたんですよ~!」と(あくまでもほめ言葉だったらしいですが)言って喜んでいた(?)とか。
私ってば、そんなにどぎついこと書いたっけ? とハテナだったんですが、弁護士が普段使い慣れている言葉ひとつとってみれも、法曹関係者でなければ、やはり「どぎつい」と表現されても仕方ない言葉のオンパレードなのかもしれません(と、自分を正当化しておりますが)。
「損害賠償」だって「債務不履行」だって、当たり前のように遣う言葉ですが、そういう文面が自分のところに来れば、かなりのインパクトがあるはず。
先日も、直接連絡をとった相手方の方から「弁護士から連絡がくると、それだけで威圧されているように感じるんです。」とぶっちゃけられました。
そういう意味で、相手方が自分を「弁護士」としてみている以上、そういう印象や先入観を持つことが、ごく当たり前なのだ、ということを良く自覚して、話をしたり手紙を書いたりしよう、と改めて感じました。
これが裁判などで弁護士同士となると、だいぶ様相が変わってきます。
私の経験からすると、弁護士さんの場合は、顔を合わせたり話をするときにはだいたい愛想が良く、穏やか。その一方で、書面ではどぎついことを書く場合も多いです(もちろん、相手方代理人をを個人攻撃するような人はさすがにいませんが)。
なんというか、書面で喧嘩はするけれど、書面以外では基本的に喧嘩しない。
そういう暗黙のルールを持っている人が多いかのように思えます。
あと、意外にあるパターンとしては、事件になって、交渉や裁判でさんざんやりあった相手方の本人から、その後、事件の依頼が来たりすること。これもあります。
これは、喜んでいいことのような気もするのですが、実際は、すでに自分の依頼者となっている方との利害対立があるので、少なくとも、今までは受けたことはありません。
ただ、そういう(元)相手方と、もう少し突っ込んだ話ができるとすれば、いったい、どういう印象をもって、そういうことを依頼しようと思ったのか、本当はぜひぜひ聞いてみたいところなのです。
実際、そこまで聞かずにお断りしてしまう場合が多いのが、少し残念! なのですが。
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