日々の歩み

2006年3月2日
メールの証拠能力

 国会では、永田議員のメール爆弾、相手に投げ込む前に不発になったのみならず、自分の陣地で自爆してしまったような・・・そんな感じがします。

 裁判などでは、ある文書に本人の直筆の署名・捺印があれば、本人がその書類を作成した、というところから話が始まるのでしょうが、メールの場合は、偽造も簡単にできてしまうので、その成立自体が直筆の文書以上に問題となり、その真正を立証しなくてはならないのでしょう。

 永田議員のメールの信憑性の根拠は、そのメールを持ち込んだ人物が信頼できる、ということに尽きているようで、しかもその人物が全く表には出てこられない状況なので、証拠とするための真正を立証することはできなかったのですね。

 ここまでメールが普及してくれば、メールが証拠となることも非常に多いのです。

 ただ、メールの内容を後から加筆・修正することは非常に簡単ですから、パソコンからプリントアウトしたデータがある、というだけでは、刑事事件等での証拠能力を認めることは難しいはず。

 ライブドア事件で捜査機関が押収したメールというのは、サーバーそのものから取り出したメールだそうなので、そこまで真正の立証ができなくては、刑事事件の証拠とすることはできないのでしょう。

 民事事件では、たとえば不倫の証拠メールなどが良く証拠として提出されます。

 他人のプライバシーのメールを暴いている、という点で証拠能力が問題にされることはありそうですが、民事裁判では、その証拠の収集方法によほど問題がない限り、(例えば、単なる盗み見程度では)証拠能力自体は認められることが多いようです。

 問題は、そのメールが真正なものであるか、事実をどの程度まで証明する力があるか、ということ。

 この点は、実際には、メールを作成した、と言われる本人が裁判の当事者になっている場合が多いので、証拠の成立についての認否を求められ、その中で、「自分はそんなメールは出していない。」とか、「自分が出したメールとは中身が少し変わっている。」というようなことを答えることが考えられます。

 そんな場合は、結局、メールを証拠として出した側と、そのメールの真正を否定する側の言い分を証人尋問等にさらすことで、裁判所が心証をとる、ということになるのですね。

 あ、あと、メールを証拠として保存するために、公証役場を使う、という裏技(でもないのかな?)があるのだそう。以前、公証人の特別講座で公証人の方が教えてくれました。

 どんなふうに使うか・・・?

 たとえば、ご主人の携帯電話をこっそり持ち出し、その内容を公証してもらうのです。

 ちょっと怖いですね。