日々の歩み

2005年11月26日
懲戒解雇、厳しすぎる? 当然?

 先日、東武鉄道の運転士が、電車を運転中の運転室に自分の子供を入れた、ということが理由で懲戒解雇された、というニュースがありました。

 この事件が大きく取り上げられたのは、懲戒解雇されたことそのものよりも、それに対して「厳しすぎる」という意見がたくさん東武鉄道に寄せられたから、のよう。

 確かに、多くの乗客の命を預かる運転士という仕事の性質からすれば、危険を招くような要素はできるだけ排除できるよう、その行動は厳しく律せられる必要があります。

 ただ、もしもこの運転士さんが、懲戒解雇について不服を持っていたとしたとして、仮に裁判などになった場合、いったいどういう判決が出るのだろう?と、ついつい考えてしまうのです。

 懲戒解雇の事案、かつて、ものすごく苦労した結果、満足のいく結果が得られ、それが、自分自身でも感動できる体験だった、ということがあります。だから、懲戒解雇については、私にとっては非常に思い入れが強いところもあるから、でしょうか?

 私見ですが、世論でこれだけ「厳しすぎる」という声があることから考えれば、懲戒解雇が無効となる判断が出されることも否めないのではないかな、と思います。

 解雇については「解雇権濫用」という理論が判例上、非常に数多く積み重ねられており、その中で、本当に多岐にわたる判断基準が示されています。

 その中で「解雇事由にあたると思われる行為から、どのような結果が発生したか」ということも、判断基準になっています。(もちろん、他の多くの判断基準の1つに過ぎませんが)。

 解雇を無効としたければ、その点も強調し、「子供を運転室に入れたが、特に問題はなかったし、一般的に見ても、大事に至る可能性は低い」ということを大いに主張することになるのでしょう。

 このような事案については、裁判官の持つ価値基準(たとえば、使用者寄りか、被用者寄りか、など、諸々)が、その判断においてとても重要な位置を占めることになりそうです。

 さて、私が裁判官なら、どういう判断を下すか・・・。やはり、気持ちとしては、懲戒解雇は認めない方向で考えそう、ですね。

 これが私の価値基準ということになるのでしょうか?