- 2005年11月5日
- もうすぐやってくる裁判員制度!
関東近県の裁判所近くを歩いていたら、再開発中の工事の防御壁の広告スペースに、「裁判員制度」の広告が掲載されていました。
法曹ではない市民による裁判員制度もだんだんと認知度が高まってきたようですが、依然、「自分が指名されたら、やりたくない」という意見が多いようです。
司法にも「市民感情」「市民感覚」を・・・ということなのでしょうが、アメリカなどの陪審制度について見聞きすると、あまりにも司法が政治と密着しすぎている感もあるし、市民感覚の面でも、「陪審コンサルタント」がいるなど、違和感を覚えざるを得ません。
民主主義はとても大切ですが、司法とは少し相容れないような、そんな感じです。
裁判員制度導入に先立ち、刑事訴訟手続きにも、期日前にかなり突っ込んだ争点整理がなされるようになるし、裁判員のために、実際の裁判所の「量刑のデータ」が開示されることも考えられているようです。
争点整理をするための公判前の手続きについては、「予断排除の原則」という、刑事裁判の大原則に照らして非常に批判が大きいようです。
確かに効率を考えれば、期日前に争点を絞っておき、裁判員の負担を減らすべく、短期間で集中的に審理することができるようになります。ただ、予断排除は、まさに被告人の「無罪推定の原則」のために必要なものなのですが、裁判員制度導入に伴う政策的な便宜と、この「原則」を比較すれば、どちらがより重要か、ということはわかるはずです。
また、量刑の資料を裁判員に開示する、ということは、プロ(裁判所)による判断基準を示すことになるわけですから、裁判員もそれに従う傾向になってしまうことになるのでしょう。
制度としては、裁判員になる人の便宜をはかり、多くの人に理解を求めたいけれど、実際に判断をしてもらうにあたっては、今までの裁判所のやり方を遠まわしに踏襲してもらう・・・・。
裁判員制度は、本当に必要なのか、いまひとつはっきりしない感じです。
そういえば、この争点整理の公判前手続きを実践するための第1号事件としれ選ばれたのが、こちらの事務所のあります六本木にて、イラン人同士の内輪もめから殺人に発展してしまった事件なのだそう・・・。
興味深くウォッチしていきたいと思います。