日々の歩み

2012年5月24日
「ご専門はなんですか?」

 先日、弁護士仲間でランチ(=あえて「女子会」と呼ばせていただきます!)をする機会がありました。
 その中で出た話題が、 「最近、『ご専門はなんですか?』って聞いてくる人が多いね。」ということ。
 弁護士になりたての頃って、「専門」ということをあまり意識せず、むしろ、どのような案件が来てもきちんと回答ができるように・・・という意識が強かったように思います。
 また、自分が弁護士になるときに就職先として選ぶ事務所の傾向として、弁護士が大人数いるいわゆる大事務所は企業法務や渉外法務、あるいは倒産を扱う事務所(「ビジネス・渉外系」?)、そしてそれ以外の一般民事を多く扱う事務所・(ちょっとかっこをつけて「ジェネラリスト系」?)・・、くらいのざっくり2種類の色分けだったように思います。
 「これがやりたい!!」というよりは、「これもこれもこれもやりたいから、こういう事務所」という感じでしょうか。
 アメリカでは、結構な昔から、「離婚弁護士」や、「交通事故専門弁護士」、「集団訴訟専門弁護士」など、ある特定の事案を専門にやっている弁護士が多かったようです。
 しかし、日本では、この「特定の事案」で最初に突出したのが、「債務整理」や「過払い事案」だったように思います。
 特に過払いなどは、法律の不備(になるのかな?)から出てきた事案を、まずはできる弁護士が、事件として成功させ、さらに潜在的に大勢いた依頼者候補者を、鼻のきく、もとい、ビジネスセンスのある弁護士たちが救い上げ、弁護士業の広告解禁とあいまって、一つの大きなトレンドにまで発展させた事例だと思います。
 そして、もっと最近になると、今度は「離婚」や「交通事故」を専門とする、ということを明示する事務所が多くなってきました。
 この流れの背景には、弁護士の広告も解禁になり、弁護士等の士業を対象とした専門のコンサルタントの働きが大きく影響している模様です。
 弁護士の専門性を打ち出してブランディングする、そういう手法が、遅ればせながら弁護士業界にも入って来たのでしょう。
 ちょっと前までタウンページに掲載されていた法律事務所の広告を見ると、離婚も交通事故も債務整理も不動産も労働事件も、とりあえずひととおり並べてあるところが多かったはず。
 「専門は?」ということを問いかけたい人からすれば、「あなたの事務所は何をやりたいんだい?!」とツッコミが入るような広告かもしれませんが、これは、「ジェネラリストのプロ」を目指したい、という弁護士の気質の表れなのです。私には、よ~く理解できます。
 来てくれた相談には、なんでも応えたい! いや、応えられる、これもできる、あれもできる、ということをお知らせしたいがために、そのような(悪く言うと)とっちらかった広告になってしまうわけですね~。
 しかし、プロフェッショナルであるコンサルティングの手法というのは、依頼者の方が知りたがっている情報を分析した結果に基づいていることには間違いありません。
 今回、ホームページを改変するにあたって、そのあたりの世の中の流れにも少しは乗りたいな・・・と思い、自分が弁護士になって特に多く取り扱ってきたことを改めて見直してみるなど、ちょっと意識をしてみました。
 最初に就職した事務所が、本当にあらゆる事件を扱っていたので、やったことのある事件は多岐にわたります。だから、あれも、これも、と言いたいところですが、数的に他よりも多く取り扱ってきた案件、力を入れてきた案件は、離婚だったり、労働事件だったりするのでした。
 かといって、「ご専門は?」と聞かれると、「離婚や労働が多いけど、なんでもやりますよ!」とつい言ってしまいたくなるんですけれどね。
 「やりたい事件は?」と言われれば、答えは簡単です。
 ジャンルを問わず、依頼者の方の話に「シンパシー」を感じることができる事件。ですね!

カテゴリー:弁護士・法律の話